ジョンポール・トッピーノ氏 メンバー独占インタービュー
第二弾:PAGホールディングス グループプレジデント・ULIジャパンカウンシルメンバーのジョンポール・トッピーノ氏にお答えいただきました。
PAGホールディングス グループプレジデント
ジョンポール・トッピーノ氏
1998年PAG(旧セキュアード・キャピタル)入社、現在PAG グループ・プレジデントおよびPAG Real Estate マネージング・パートナーを務め、同社の不動産戦略を統括。それ以前はセキュアード・キャピタルの米国におけるデットアドバイザリー事業を担当、手掛けた取引は20億米ドル超規模。トッピーノ氏のリーダーシップの下、PAG Real Estateチームは優良物件6,900件、およびローン資産310億米ドル超を戦略的に取得。フロリダ国際大学にて経済学士号を取得。ヤング・プレジデンツ・オーガニゼーション(YPO)メンバー、支部エグゼクティブコミッティメンバー。
1)大阪への関心は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前と変わりありませんか? | 当社は変わらず大阪市場に高い期待を寄せている。東京に比べて空室率は非常に低く、短期的な供給は極めて限定的であるが、商業施設やホテルの低調さは、海外旅行や国内観光が回復しない限り続くと思われる。事実、ホテルは新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前からすでに供給過剰であった。ホテル市場が回復局面に入るにはさらに2年を要するとみられ、新型コロナウイルス感染症のワクチンが一般に利用可能になるかにかかっている。
そのほか、データセンター、ハイグレード物流施設、多世帯住宅にも関心がある。いずれも短中期の混乱に対する脆弱性が小さい部門である。事実、データセンターはクラウドストレージのニーズの高まりを受けて需要が拡大しており、社会が5G導入を進めるのにあわせて、需要はますます拡大する。 |
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2)ここ数年、ホテルへの転用が主要戦略となっていました。これらのホテルは次に何になるとお考えですか? | 当初、用途変更の大半はオフィスからホテルであり、多世帯住宅からホテルに転用するケースも見られた。元の用途に戻すことが最も簡単だと一見思われるが、高齢者住宅(限定介護機能付)や社員寮への転用も、共有部やキッチン設備が備わっていることを考えると理論上よい選択肢と考えられる。 | ||
3)富士通は在宅勤務体制を標準化すると発表しました。これにより、オフィスの在り方はどのような影響を受けるでしょうか?これは短期的な動きに終わるのか、新しい傾向の始まりなのか、どのようにお考えですか? | これが短期間で終わるものだとは考えていない。富士通は日本の優良企業であり、オフィススペースに関してはかなりの面積を占有している。企業がコスト削減に目を向けるにつれ、ちょっとしたトレンドになるだろう。とはいえ、それによって浮き彫りになる点がいくつかあると考えている。
日本企業は、米国企業に比べて従業員一人当たりの平均使用面積が概ね50%以下であり、ほとんどのオフィススペースはやや過密状態にあると言える。現在の専有面積のレイアウトや標準的なオフィスレイアウトでは、十分なソーシャルディスタンスを確保できていない。これは新型コロナウイルス感染症の問題だけではなく、一般的な健康問題に値する。従って、これにより、在宅勤務により失われたスペースの一部(おそらく多く)を相殺すると考える。 加えて、日本では直接会う文化が根付いているため、企業は引き続き事務所に十分な広さの会議室を備える必要があると考える。新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前のように各社10名ずつ参加するのではなく、必要な参加者のみでの会議になることが望ましいと個人的に考えている。 おおむね在宅勤務はうまく機能しており、多くの場合それで十分だと判明している。とはいえ、当社でも文化的観点、そして重要なことにITの観点からも十分に対応できるものの、効率の悪さは残っている。 多くの企業は短期的に在宅勤務に舵を切り、その後失う効率性と賃料削減を秤にかけて、しっかりと働き方について検討することになるかもしれない。 |